狭小住宅を建てる際、リビングの開放感を大きく左右するのがキッチンのデザインです。
物理的にスペースが狭い狭小住宅の場合、リビングを広く取るとどうしてもキッチンのスペースが少なくなり、使い勝手が悪くなってしまいます。
リビングに比べるとキッチンは利用人数が限られる場所ですが、せっかくの一戸建てなのにキッチンが使いづらいのは困りますよね。
そこで、使い勝手の良さと見た目の開放感を両立できる案として、狭小住宅を広く活用できる対面式キッチンの実例をまとめました。
狭小住宅で見た目の開放感を出すコツは、「できるだけ視線を遮る高さに壁や内装、家具等を置かない」ことです。
こちらの事例では、ベニヤや無垢材を多用して全体のデザインを統一しつつ、シンクとコンロがひと続きになっているI型の対面式キッチンを採用しています。
キッチンに置く家電のなかでも一番場所を取る冷蔵庫の設置スペースを壁面に設け、対面式キッチンを採用することで部屋の奥までスムーズに視線が通るように配慮しています。
さらに、壁面収納をベニヤで隠すことで雑然としがちなキッチンの収納をコンパクトに収めているのもポイント。
階段も蹴込み板を外したスケルトン階段にすることで、開放感を強調しています。
土地の形や間取りによって、どうしても細長い空間が増えがちな狭小住宅の弱点をうまくカバーしている事例です。
本来、アイランドキッチンはキッチンの周囲にスペースを確保しなければならないため、狭小住宅にはあまり向いていません。
しかし、あえて奥行きに合わせて真ん中にアイランドキッチンを配置することで、細長い空間を行き来しやすいよう工夫しています。
腰壁等のないシンプルなアイランドキッチンにIHコンロを使い、キッチンそのものをなるべく平らにして見た目の圧迫感を軽減しているのもポイントです。
狭小住宅では、2階建てや3階建てにすることで生活スペースを確保している間取りが少なくありません。
住宅によっては2階や3階にキッチンやリビングを配置している場合もあるでしょう。
ただ、屋根の傾斜があるぶん見た目の圧迫感が強くなってしまう最上階は、生活スペースとしてやや使いづらいという問題をもっています。
そんな問題をうまく解決したのがこちらの住宅です。
壁面に向かって配置するキッチンではなく、対面式のキッチンを使うことで家事をしている最中の圧迫感をうまく軽減しています。
視線の通りづらい建物の奥側にキッチンを寄せることで、リビングのスペースを確保しているのも見逃せません。
純粋な家ではなく、住宅の1階をカフェにしている住宅ですが、こちらの事例では狭小住宅ならではの狭さを感じさせない工夫がいくつも施されています。
対面式キッチンの使い方として注目したいのは、キッチンの腰壁とキッチン背面の壁の色を合わせることで「腰壁等でキッチンを隠していることで生まれる圧迫感」を軽減していることです。
もし、腰壁がカウンターと同じ木目調のデザインだったらかなり目立って見えるでしょう。
また、背の高いキッチン収納を使わず、家具の高さを抑えてなるべく空間の上部を見せているのも開放感を演出するポイントです。
狭小住宅のキッチンは、「限られた空間をいかにうまく使うか」が重要になってきます。
実際にどのような施工が行われているのか、参考例を見ていきましょう。
画像引用元:http://www.design-kenchiku.jp/k-building.html
仲村建築店公式サイト
リビングとキッチンをそれぞれ別空間で区切ることができるほどのスペースがない場合は、いっそのことリビングとキッチンをつなげてしまうのもひとつの手です。
両方の空間を区切る壁やカウンターがなければ、家事の最中も自由に動き回ることができます。
ポイントは、壁の一面、リビングの大きな窓を背後にした場所にキッチンを設けることです。
そうすることで、背後にスペースができ、窓から光が入ってくるので採光の問題もありません。
また大きな窓だけではなく、天井を高くして天窓を作ったり、吹き抜けのデザインにすることで明るさを持続させる工夫をしている工務店も。明るいキッチンは家族の憩いの場となり、料理をする人の気持ちも明るくしてくれます。
リビングとの仕切りがないので見た目もかなり広くなり、開放感のあるキッチンになります。
家族皆が自由に出入りできる広々としたキッチンなら、お子さんと一緒にお菓子作りをしたり、休日に夫婦で一緒に料理する時にもゆったりと使うことができるでしょう。
画像引用元:http://a3assist.com/test/work/04/index.html
アセンティアホーム公式サイト
画像引用元:http://a3assist.com/test/work/04/index.html
アセンティアホーム公式サイト
狭小地で十分な生活スペースを確保する方法は、部屋ごとの間仕切りを外して空間をなるべく大きく使うか、建築法に引っかからないように家を縦に伸ばすかのどちらかの方法です。
高さを出して部屋数を増やすのも便利ですが、猫を飼っている家庭には、家全体にスキップフロアを設け、あえて高低差を演出するのもおすすめです。
間取り上はキッチンとダイニング、リビングが一続きの空間になっていたとしても、高低差があれば立体感が生まれるので手狭な印象は軽減されます。
別途キャットタワー等を購入しなくても、家全体がキャットタワーのようになるので、ペットの運動スペース問題も解決できて一石二鳥のアイデアです。
また高低差を生かして立体的な空間を作れば、狭小住宅だとしても家族分の部屋数を確保することが可能です。
それぞれの個室もスキップフロアにして手狭さを軽減することもできます。
そうすれば、狭いからと個人の部屋を持つことを諦めなくても済むのです。
また、スキップフロアを採用すれば、たとえ奥に細長い地形だったとしても十分に採光ができ、光と風がたっぷり入る空間を実現できます。
狭小住宅の狭さという問題を解決する際、多くの施工会社では「いかに狭いスペースにキッチンを収め、効率よく使えるようにするか」を考えます。
しかし、家づくりに絶対的なルールはありません。
キッチンを狭くするのではなく、キッチンを広々と取る代わりに、リビングを狭くするという考え方もありなのです。
ある事例では、単純にリビングを狭くすると生活しづらくなってしまうため、リビングの一部を間仕切りで区切って夫婦の寝室になるように工夫されました。
日中は間仕切りを解放して広いリビングとして使い、夜になると間仕切りを閉めて寝室として使うという形です。
リビング兼寝室という空間づかいをすれば、ベッドルームをひとつ減らすことができるので、子ども部屋を増やすこともできます。
またほかの事例では、襖や棚などの移動式間仕切りやパーテーションを使い、状況に応じて間取りを変えるという工夫をしている場合も。
何しろ移動式なので模様替えやバリアフリーにも対応でき、半透明のアクリル材などを使えば、間仕切りを動かしても採光を邪魔することもありません。
来客時やイベントの時には広々としたリビングを確保し、普段は仕切りを動かしてキッチンを広く使ったり、家族のプライベートを守ったりするなど、使い方は自由自在です。
メーカー製のキッチンをセットで購入する場合、どうしてもキッチンのサイズに間取りのほうを合わせなければなりません。
その結果、一戸建てなのにも関わらず、料理をする人が使いづらいキッチンしか選べない場合もあります。
また、狭小地ならではの特殊な地形に市販のキッチンが対応できず、デッドスペースができてしまうこともあります。
しかし、敷地の形や広さに合わせて造作のキッチンをつくってもらい、市販のシンクやコンロなどを個別に設置すれば、サイズ調整の問題はなくなるのです。
造作家具を使うと、キッチンの高さや幅、収納の数などを理想通りにつくることができるため、使い勝手の問題も解消できるでしょう。
例えばアセンティアホームでは、デザイン家具の会社であるKAJAデザインと提携し、フルオーダーの造作家具の設置に力を入れています。
間取りにどれだけ満足していても、設置する家具のサイズが合っていなければ、住宅の住み心地は満点とはいかないでしょう。
自分の要望、理想をかなえてくれるオーダーだからこそ使い勝手の良いキッチンになるのです。
また他にも、完全フルオーダーとはいかなくても、キッチン・バス・洗面台・トイレなどの住宅設備を10種類ほどの商品から選ぶセミオーダー式にしているという工務店も。
毎日キッチンに立つ女性は、広さやデザイン、動線の構築、収納の高さなどにこだわりがありますから、自分好みにできるというのはとっても助かります。
画像引用元:BLISS公式サイト
https://bliss-d.com/construction/L字土地の狭小住宅.php
間口が狭く、奥行きのある狭小地の場合、奥行きを生かせば目線が奥まで通るようになって見た目の圧迫感がなくなります。
見た目のすっきり感を演出するのに役立つのが、「キッチンや造作の収納」「上階への階段」といった設備を壁の同じ側にまとめてしまうことです。
玄関から見て直角にキッチンを置くと、どうしてもキッチンが視線を遮って奥行きが狭く感じてしまうため、玄関かrと平行になるようにキッチンを置くのがポイントです。
例えばある事例では、2階へと続く階段の下をトイレや洗面所にして限られたスペースを有効活用し、残りの空間をより広々を使えるようにデザインしています。
収納棚や収納扉もあちこちに作らず、視点を片側に集中させることによって、実際以上に部屋を広く、奥行きのある印象にできます。
物理的にスペースが限られている以上、狭小住宅のスペースでは必ずある問題にたどり着きます。
それは、「収納スペースがない」こと。
そこで、ここからは狭小住宅ならではの収納問題を解決してくれる、お役立ちグッズや家電をご紹介します。
狭小住宅では、キッチン周りに十分なスペースが取れません。
扉を開けるために、かなりのスペースが必要になる観音開きタイプの冷蔵庫を置くことは避けましょう。
そもそも、観音開きタイプの冷蔵庫はサイズが大きいので邪魔になりやすいです。
また、冷蔵庫は家族全員がよく使います。
扉が片側からしか開かないタイプの冷蔵庫だと、設置場所によっては調理中や片付け中に家族が冷蔵庫を使って家事の動線をふさいでしまうため、できれば両開きタイプのものを選ぶのがおすすめです。
100円ショップなどで販売されている、底にマグネットがついた缶タイプの収納を使えば、壁や家電の側面に調味料を収納できます。
缶タイプの収納なら、中身が見えるので調味量を間違ってしまう心配もありませんし、あとどのくらい残っているのかも一目瞭然です。
調味量を瓶や袋に入ったまま使っているとかさばるので、スペースを節約する意味でもおすすめアイテムだといえます。
一般的なネジ式の瓶も、蓋にピンを刺して戸棚の下等に固定してしまえば、便利な収納器具になります。
重さのある物は収納できませんが、調味料程度ならある程度の量をまとめて整理できるでしょう。
キッチン下の収納スペースが狭く、吊り下げ式の収納は高い位置にあるので使いづらい場合、吊り下げ式の戸棚の下に瓶を固定すれば手が届きやすくなるメリットもあります。
キッチンに備え付けの収納には、ほとんどの場合細かい間仕切りがついていません。
広い空間に、ごちゃごちゃとキッチン用品を収納すると出し入れがしづらいですし、一覧性もよくないので、収納する物のサイズに合わせて細かく仕切って使いましょう。
専用の間仕切りではなく、ファイルケースやトレイなどを使えばお金もそれほどかからないでしょう。
フライパンや鍋などの場所を取るキッチン用品については、片っ端から吊るしてしまうのもひとつの解決策です。
突っ張り棒やメタルラック、ペグボード(小さな穴がたくさん開いていて、フック等をかけることができる収納グッズ)をキッチンの壁や戸棚の下に固定してしまえば、収納スペースが広がります。
いちいち戸棚を開けて道具を片付ける手間も省けるので、家事の時短にもなるでしょう。
包丁やお玉など、磁石でくっつく金属製のキッチン用品については、壁に磁石を固定して壁掛けするようにすると取り扱いやすくなります。
使用した金属製のキッチン用品を洗った後、そのまま壁掛けにすればよいため、衛生面の心配もありません。
狭小住宅のキッチンでは、狭さから十分な作業スペースが取れないという問題もあります。
そんなときに活躍するのが、シンクの上に作業スペースをつくることができる便利グッズです。
形状はさまざまで、作業スペースがひとつあると、シンクの上で包丁を使ったり、下ごしらえの済んだ食材を置くなど、スムーズに効率よく作業が行えるメリットがあります。