公開日: |更新日:
木造耐火とは、その名の通り「木造住宅でありながら、火災に強い家」のことです。実は、火に弱いと思われがちな木材は、内部に多くの中空があって熱が遮断されるため、火災が起きても焼け落ちるまで時間がかかる特徴を持っています。
一方、耐火性能の高さでも知られているコンクリート造の住宅は、頑丈ですがメンテナンスは難しく、建築費も高くなりがちです。
木造住宅ならではのデザインを活かせる、木造耐火のメリットや費用感について解説します。
もともと、火がつくと燃えてしまう木造住宅には耐火性能の基準がありませんでした。しかし、建築基準法の改正に伴って、木造建築でも一定以上の耐火性能を持っていれば、
の認定を受けることができるようになっています。
「耐火建築物」と「準耐火建築物」の認定基準は、「火災が起きたときにどれだけ長く耐えられるか」です。
柱や床など、基礎的な構造部分が1時間以上火災に耐えられる木造住宅は、耐火建築物。同じく、最低45分耐えられるものが、準耐火建築物として認められます。
住宅火災は、原因が何であれ火災発生から消火までの時間が長くなりがちです。木材に比べると、素材の性質上燃えづらいコンクリートや鉄骨を使っているほうが火災に強いのは確かですが、長時間高熱にさらされれば、どれだけ頑丈な建材でも大きく崩れてしまいます。
場合によっては火災の熱で鉄骨ですら溶けてしまうことを考えれば、火災発生時に一切被害がない住宅を建てるというのは現実的ではありません。住宅に求められるのは、住民が逃れるための時間稼ぎや延焼を防ぐための構造、建築工法の工夫、消防車が到着するまで家が倒壊せずに耐えることのできる耐久力なのです。
その点、内部に中空を多く含む木材は、火がついて真っ黒になっていても、内部までは火が通りづらいという性質を持っています。「消火や救助が終わるまでの時間稼ぎ」をすることを考えた場合、耐火構造を備えてさえいれば、木造住宅でも十分な火災対策ができるのです。
木造耐火を選ぶメリットを、6つまとめました。
木造耐火では、住宅の基礎に使う柱や梁などの内部に鉄骨を入れたり、柱等を燃えづらい材質でできたシートやボードで覆ったりすることで、木材に火がつきづらいように工夫しています。
強化した木材を使う分、手軽に高強度の家を建てられるのです。
木造住宅は、メンテナンス性に優れています。
こまめにメンテナンスすれば、鉄筋コンクリート造の住宅より長持ちするでしょう。増改築も簡単です。
「防火地域」や「準防火地域」に指定されている土地は、耐火建築物か準耐火建築物の建物しか建てられません。
しかし、一定の耐火性能を持っている木造耐火住宅であれば、防火地域でも木造住宅を建てられます。家づくりをする上で、木造か鉄筋コンクリート造かは非常に大きな違いです。木造耐火なら土地選びの選択肢も広がるので、とことん家づくりの理想を追求できるでしょう。
防火地域は都心や居住地域にも設定されており、駅・商店街の近くなど立地にこだわりたい人にとっては確認が必要なポイントなので必ずチェックしておくといいですね。
一般的に、住宅は「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」の順番で建築費が高くなっていきます。
木造耐火の場合、多少強化してあっても基本的には木造住宅なので、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅を選ぶよりも建築費を安く抑えられるのです。
狭小地といっても、土地の広さや形は土地によって違います。
その点、木造住宅は間取りやデザインの選択肢が広いため、限られた空間を最大限有効活用できるでしょう。
耐火建築物や準耐火建築物の木造耐火住宅を建てた場合、火災のリスクや火災発生時の被害拡大のリスクが一般的な住宅よりも低いため、火災保険料や地震保険料を割り引いてもらえます。
加入する保険の種類によって割引率や保険料は変わってくるので、できるだけ割引率が高くてお得な火災保険に加入しましょう。
デザインや土地の条件等によって実際の金額こそ違いますが、木造耐火は一般的な木造住宅とほとんど同じ金額で建てられます。